インタビュー | interview

最初に今の榎本さんを作り上げたバックボーンから教えてください。

私の社会人としてのスタートは株式会社リクルートでした。29歳で独立しましたが、独立後もリクルート社と共にお仕事をさせていただいた時期が長く、私のベースはリクルートにあると思います。新人時代は、現在の働き方改革とは時代環境も異なりTVからは「24時間戦えますか」というCMが流れ、何者でもない自分は早朝一番に出社し深夜最後に帰ることを自らに課しました。東京の夜はオフィスビルから電気が消えないくらいに日本全体がみんなで働き続けた時代だったのかもしれません。魅力的な先輩ばかりで仕事がとても楽しかったですし、そんな20代があったからこそ飛躍した30代につながっていったのだと思います。

バックボーンよく理解できました。具体的にはどんなことを学んだのでしょうか。

法人企業の採用事業、教育・研修事業、適性検査事業、印刷物などのツール事業、ホットペッパーやゼクシィなど顧客の売り上げを上げるための販売促進事業など多岐にわたり経験できました。法人企業相手のビジネスでは様々な業界のビジネスプロセスや利益の仕組みも理解できるようになりました。さらには著名な経営者にお会いし人生観もお聞きでき、生きた学びが日常の中にありました。販売促進事業では、顧客のどの商品でいくらの売り上げをつくるかなど各論ベースの施策含めコンサルができるようになりました。独立後は雇用関係にあったわけではないので、上場前のIT企業の顧問などのビジネス最前線の現場を体感できたことも大きな学びでした。

それらの学びから今の貴社の事業に一番影響を与えたエピソードなどありますか。

東京の上場前後のIT企業の顧問をしていた時のエピソードですが、上場も果たしメディアでは大きく取り上げられ創業メンバーは大きなお金も手にしたサクセスストーリーでした。しかし私には幸せそうに見えなかったのです。お金を得ても失った人もいれば、株価を気にした経営や株主に配慮した売り上げ、利益追求の経営などを身近で体感し「何のために」という本質を考えるきっかけとなりました。

そんな時、世界的建築家の安藤忠雄さんの建築を見る機会がありました。コンクリート打ち放しの中に光が入る幻想的な安藤建築の空間の中で心の声が聞こえてきたのです。

「売上は大切だが財務基盤を整えた上で何より価値と志が大切なのではないか」「この仕事は榎本さんにしかできないと言われる仕事こそが喜びであり、心から求めていることではないのか」「安藤忠雄さんの事務所は、従業員規模は大きくないが世界で大活躍できている。その異業界の仕組みを自分の業界に応用できないか」そんな心の声、結論がオリジナル路線に向かっていくきっかけとなりました。

オリジナル路線・研究成果をビジネス特許などに触れない範囲でお聞かせください。

我々のビジネスでは求人企業と求職者の双方の適合(マッチング)が課題、困難となっています。人材像の定義は、時代背景・価値観・事業発展プロセス・戦略により多様に変化し一律ではありません。そこでマッチング向上の課題として以下の2つを抽出しました。

 1) 求める人材像の設定方法が不明確
 2) 求める人材の見極め方法が不明確

これらの課題に対し、環境変化に対応した求める人材像の明確化、およびオリジナルキーワードを活用した面接方法の改善を仕組化しました。

 1) 過去の事実の把握、
 2) 事実と感情を分け事実は数字で判断
 3) 自分史の作成
 4) 未来史の作成

さらに長期的に活躍する人材の要素が以下であることもわかりました。

 1) 素直
 2) 仕事型
 3) メンタルタフネス
 4) セルフスタータ
 5) リスクテイク

加えて以下の図の枝葉ではなく、木の根の部分に着目し、人材におけるこの見えない部分の解明が課題の解決方法につながると考えました。過去に何を考えて、どのような決断し行動したのかをつかむと、行動特性が理解できます。その行動特性は、再現性があり、過去頑張れた人は未来も同様に頑張れる可能性があるのです。過去に経営批判をし、退職した人は未来も同様の行動を繰り返す性質もあります。潜在的な特性も考察しながら適材適所、求める人材像を設定していくことが、ミスマッチの抑止につながります。また、求める人材像における木の根が培われた過程や影響を与えた要素を理解すると、その人材の源を知ることにつながると考えました。同様の方法を経営者に行うと経営者の源も明らかになります。

過去に培われた「タイプ」と現在、履歴書・職務経歴書で見える「スペック」を複合的に掛け合わせると、求める人材像の未来の行動の再現性を予測できます。それによってマッチングスキルを向上でき、求める人材像の設定方法を明確化できるのです。合わせて適性検査の結果と面接の所感を掛け合わせると見えないものが見えるようになるのです。

最後に榎本さんの「座右の銘」や貴社の「使命」をお聞かせください。

座右の銘は「人間万事塞翁が馬」です。試練の中でも目の前に出された現象や現実に不平不満を言うのではなく「後々、この経験がきっと大きな実りをもたらしてくれるかもしれない」「どうしたらこの試練をプラスに変えられるだろか」といつも考えている自分がいます。

人間万事塞翁が馬

当社の使命は以下となります。

私たちの想い。 会社経営の悩みは人材と資金。
私たちは人材の悩みを解決し売り上げに貢献します。
そして経営者の幸せだけでなく
そこで働く従業員の幸せも同時に実現したい。
これが私たちの使命です。

株式会社リクルーティング開発 代表取締役 榎本豊

1990年 4月   株式会社リクルート 入社
2003年12月  株式会社リクルーティング開発 設立 代表取締役社長就任
※新潟大学大学院 修了